「Fラン大学から公認会計士になることはできるの?」「公認会計士になるための手順を知りたい」など、公認会計士になるための情報を集めている大学生もいるのではないでしょうか。
「Fラン大学だから公認会計士の資格取得は不可能」ということはなく、正しい手順で勉強を行えば、Fラン大学生でも公認会計士になれます。
この記事では、Fラン大学から公認会計士になるための手順と、公認会計士試験に合格した際の流れを解説します。
公認会計士試験に落ちたときの対処法も紹介するため、公認会計士を目指しているFラン大学生は、ぜひ参考にしてください。
公認会計士だけに絞って進路を決めると、就活の際に就職先の選択肢が狭まる可能性があります。公認会計士の勉強とあわせて合同説明会に参加することも検討しましょう。
公認会計士とは?合格するのに学歴は関係ある?
公認会計士とは、監査・会計のスペシャリストとして働く、専門家のことです。仕事の特性上、法律に基づいた会計のルールを理解する必要があるため、国家資格が必要になります。
公認会計士試験は、医師・弁護士の資格と同様に、難易度の高い試験が実施されます。2021年の公認会計士試験の合格率は9.6%と低く、例年の合格率を見ても10%前後が平均です。
(出典:令和3年公認会計士試験の合格発表の概要について)
しかし、医師・弁護士と違い、公認会計士試験の受験に学歴は関係ありません。受験者の中には、高卒者も一定数存在します。
また、公認会計士・監査委員会が発表したデータによると、試験の合格率は大学在学中の学生が1番高いことがわかります。
(出典:令和3年度公認会計士合格者調)
試験の難易度が高いと言われている公認会計士ですが、正しい手順で対策を行えば、Fラン大学生であっても合格はできるでしょう。
Fラン大学生が公認会計士になる魅力3つ
公認会計士は、一般企業に勤めるよりも多くの魅力があります。学歴に関係なく目指せる職種であり、学歴フィルターによって不採用になることもありません。
Fラン大学から公認会計士になる魅力は、次の3つが挙げられます。
- 年収1,000万円以上を狙える
- 独立して働くことができる
- 仕事がなくなる可能性が低い
公認会計士は、働き方次第で年収1,000万円以上を実現できる職種です。基本的には、Fラン大学生が一般企業に就職して年収1,000万円以上を得ることは困難です。Fラン大学から公認会計士になれると、人生逆転を狙えるでしょう。
公認会計士になると手に職がつくため、監査法人に勤める以外に独立して働くことも可能です。独立できれば、就業時間・休日を自由に決められるため、融通の利いた生活を送れます。
公認会計士は他の職種に比べて、なくなる可能性が低い職業です。「財務諸表監査」という独占業務があり、日本に会社がある限りは仕事がなくなることはありません。
高収入を得たい・融通の利いた生活を送りたい・安定した仕事に就きたいというFラン大学に通う学生は、公認会計士を目指すことをおすすめします。
公認会計士に向いている・向いていないFラン大学生の特徴
Fラン大学から公認会計士を目指す際は、公認会計士の向き不向きを知っておくことが大切です。適正を考えず公認会計士になると、仕事を長く続けられないでしょう。
下記は、公認会計士に向いている・向いていないFラン大学生の特徴をまとめた表です。
向いている方 | 向いていない方 |
・責任感を持って仕事に取り組める方 ・数字に強い方 ・経営の世界に興味がある方 | ・黙々と作業を進めることが苦手な方 ・クリエイティブ力を発揮したい方 ・デスクワークが苦手な方 |
上記の向き不向きはあくまでも目安ですが、「高収入が得られそう」という動機だけでFラン大学から公認会計士を目指すことは控えたほうがよいでしょう。
公認会計士を目指す際は、勉強が必要です。本屋などで公認会計士の参考書を手にとり、どのようなことを学ぶのかを知ってから、公認会計士を目指すかどうかを判断しても遅くありません。
Fラン大学から公認会計士になるための手順
公認会計士になるためには、公認会計士登録が必要です。登録するには、公認会計士試験に合格後、実務経験を積んだり実務補習を受けたりする必要があります。
公認会計士試験に合格するだけでは、公認会計士になれないので気をつけてください。
公認会計士試験合格から公認会計士になるまでの流れは、次のとおりです。
- 公認会計士試験(短答式試験・論文式試験)に合格する
- 実務経験を積む
- 実務補習を受講する
- 条件を満たしたのちの修了考査に合格する
- 日本公認会計士協会に名簿を登録する
- 公認会計士として活動を開始する
ここからは、「公認会計士試験」「実務経験」「実務補習」について詳しく解説します。
公認会計士試験を把握する
公認会計士試験は、「短答式試験」と「論文式試験」の2つで構成されており、短答式試験の合格者のみが論文式試験を受験できます。
短答式試験の合格者は、2年間は短答式試験が免除され、論文式試験の受験資格が与えられます。短答式試験・論文式試験の詳細は下記の通りです。
短答式試験 | |
試験時期 | 年2回:毎年5月・12月に実施 |
出題形式 | マークシート |
出題科目 | ・企業法 ・監査論 ・財務会計論 ・管理会計論 |
合否判定 | 4科目の総点数で判定し、合格基準は総点数の70%を基準 |
論文式試験 | |
試験時期 | 年1回:毎年8月に3日間に分けて実施 |
出題形式 | 筆記試験 |
出題科目 | ・企業法 ・監査論 ・会計学 ・租税法 ・選択科目(経営学・経済学・民法・統計学) |
合否判定 | 5科目の総点数で判定し、合格基準は52%の得点比率を基準とする。 |
論文式試験の合格基準は、他の受験生との比較で合否が決まる「相対評価の試験」です。そのため、他の受験生の平均よりも上回ることができれば合格できるという仕組みを採用しています。
また、論文式試験は、5科目を3日間に分けて実施します。以下の順に試験が行われるため、内容を把握しておきましょう。
- 1日目:監査論・租税法
- 2日目:会計学(午前・午後で実施)
- 3日目:企業法・選択科目
2021年は新型コロナウイルスの影響により、短答式試験は5月実施分の年1回だけ実施されました。2022年の公認会計士試験は、例年通り5月・12月の年2回実施される予定です。
しかし、新型コロナウイルスの状況によっては、試験日程が変更される可能性があります。受験する際は、公認会計士・監査委員会のHPを確認し、出願の締め切りに遅れることのないように注意してください。
実務経験を積める企業に就職する
公認会計士として登録するためには、2年間の実務経験が必要です。実務経験には「業務補助」と「実務従事」の2種類があります。一般的には、企業の会計部門や監査法人などに就職して経験を積む流れが多い傾向です。
実務経験を積むタイミングは、公認会計士試験の合格前後でも認められています。そのため、公認会計士試験に合格していなくても、就職して経験を積むことも可能です。
大学卒業前に公認会計士試験を合格した場合は、「学生非常勤」として監査法人で働くことで実務経験を積めます。
実務補習を受講して修了考査に合格する
公認会計士になるには、実務補習を受講する必要があります。実務補習は単位制となっており、3年の期間で以下の5つの項目を受講し、単位獲得を目指します。
- 監査
- 会計
- 税務
- IT・経営
- 法規・職業倫理
実務補習は、全国にある実務補習会場、もしくはeラーニングで受けます。なお、実務補習会場は一部の都道府県にしかないため、実務補習を受講する際は近くに実務補習会場があるのかを確認しましょう。
2年間の実務経験と、実務補習の単位を獲得することで「修了考査」試験の受験資格が与えられます。修了考査は、年1回実施される実務補習所の卒業試験のことです。
修了考査は不合格であっても何回でも受験ができます。ただし、修了考査試験を繰り返し受験すると、モチベーションが低下する恐れがあるため、試験勉強を行い翌年の受験に備えることが大切です。
Fラン大学から公認会計士試験に合格するために必要なこと
公認会計士試験は、受験資格に制限がなく、誰でも受験できる国家試験です。しかし、出題範囲の広さが難易度を高めており、計画的に勉強を進めなければ大学在学中の合格は厳しいでしょう。
以下では、Fラン大学生が公認会計士試験に合格するための3つのポイントを解説します。
まとまった勉強時間を確保する
公認会計士試験に合格するためには、勉強時間が3,000〜5,000時間ほど必要と言われています。1日5時間を勉強の時間にあてた場合でも、約2年程度かかる計算です。
まとまった勉強時間が必要なため、公認会計士試験に合格するまでの期間を1年半〜2年間ほどに設定する方がほとんどです。
早い時期から勉強を開始する
公認会計士試験の合格を目指すのであれば、早い時期から勉強を開始することが大切です。
また、社会人になると通勤や残業、仕事上の付き合いなどに時間を取られてしまいます。入社して日が浅い時期は、仕事を覚えるのに必死でまとまった勉強時間の確保ができなくなる恐れがあります。
大学に通っている今だからこそ、公認会計士試験合格という目標に向けて受験プランを考えていくことが重要です。
公認会計士に合格した際の就活事情|初任給・労働環境なども解説
公認会計士試験に合格した方のほとんどは、監査法人へ就職します。公認会計士になるための実務経験は、監査法人で行うことが一般的です。
監査法人以外でも、会計事務所・一般企業の経理職などに就職する方もいます。しかし、以下の条件を満たしていないと、実務経験を積んだことにならないため注意が必要です。
- 資本金5億円以上の法人についての原価計算や財務分析に関する事務
- 1年間で2つ以上の法人監査証明義務を行っているか
また、公認会計士市場は売り手市場と言われており、監査法人への就活はうまくいくケースが多い傾向です。
監査法人には、「Big4」と呼ばれる4大監査法人があります。4大監査法人に就職した場合の公認会計士試験合格者の初任給は約30〜35万円と言われています。
(出典:資格の学校TAC「公認会計士の年収は本当に高いのか。年収でみる、公認会計士を目指す価値」)
2019年に調査された厚生労働省が2019年に実施した調査によると、大卒の初任給は約21万です。4大監査法人へ就職した場合と比較すると、給与は10万円程度の差が出ます。
(出典:厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査(初任給)の概況」)
なお、中小監査法人に就職すると、4大監査法人の給与より下がります。初任給で見ると、4大監査法人・中小監査法人・他の職業の順で給与が高い傾向です。
公認会計士は、入社1年目の年収が他の職業よりも優遇されていることを踏まえると、恵まれた労働環境と言えるでしょう。
Fラン大学在学中に公認会計士試験を突破できなかった場合は?
Fラン大学在学中に公認会計士試験を突破できなかった場合は、一般企業への就職に切り替え、再度受験することをおすすめします。
2021年の公認会計士試験結果を見てみると、大学卒業後に出願する方の割合が最も高くなっています。多くの方が大学卒業後に公認会計士試験を受験しているため、大学在学中に試験を突破できなかったとしても焦る必要はありません。
(出典:令和3年公認会計士試験合格者調)
一般企業に就職する際は、残業・休日出勤が少ない企業を選び、就業前後に自習をしたり予備校に通ったりしながら公認会計士試験の合格を目指しましょう。
公認会計士の勉強と仕事を両立させたい方は、大手子会社に就職することがおすすめです。大手子会社の特徴は、下記を参考にしてください。
- 親会社と比べると受験者数が少ないため就職しやすい
- 倒産する可能性が低い
- 親会社と同等の福利厚生が期待できる
大手子会社は就職倍率が低いため、Fラン大学に通う学生でも十分に目指せます。福利厚生や給料面などが優遇されているケースが多く、ワークライフバランスが取りやすい点が魅力です。
恵まれた環境で仕事をしながら、プライベートでは公認会計士の勉強に打ち込みたいという方は、大手子会社を狙ってみましょう。
Fラン大学に通う学生が大手子会社に就職する際の情報は、下記の記事で詳しくまとめているため、あわせて確認してください。
まとめ
Fラン大学生でも公認会計士になることは可能です。しかし、勉強時間の確保・試験に向けたスケジューリングが大切となるため、早い時期から対策を行う必要があります。
公認会計士試験を突破しても、実務経験や実務補習を受けなくてはなりません。就職後も勉強にあてる時間が多くなるため、大学生のときから勉強するクセを付けておくことが重要です。
公認会計士になるまでの道のりは長く険しいですが、「年収1,000万円を実現できる」「独立し開業することができる」など、メリットが多い職業です。
また、Fラン大学在学中に公認会計士試験に合格できなくても、諦める必要はありません。多くの方が一般企業に就職し、再度公認会計士試験を受験しています。
就職してから公認会計士を目指すのであれば、大手子会社へ就職することをおすすめします。時間に融通が利き、倍率が低くFラン大学生の就活でも狙える範囲です。
「責任感のある仕事に携わりたい」「高収入を得たい」と考えるFラン大学に通う学生は、公認会計士を目指すことを視野に入れてみましょう。